本体規格と附属書JAは、成り立ちが元々違っており1974年版の規格で製造された附属書製品が現在まで約40年間の長きにわたり、製品設計に採用・生産されて市場に供給され、大きな問題も無く使用され続けた実績から、現存する機械・製品・設備の補修まで考えると、規格仕様の切り替えは簡単とは思いません。規格相違点や市場動向を研鑽し、顧客の新しい設計や支障の無い部分からのスタートに十分な対応をしていく体制が重要です。
2014年4月21日付けで六角ボルト、六角ナットのJIS改正が行われました。附属書の技術的内容をそのまま存続することとしたものの、「新しい設計では使わないことが望ましい」旨、明記されました。
本体規格は確実な締結体設計にとって推奨すべきものです。しかし、現状は本体規格品の普及が進んでおらず、一般流通品はほぼ附属書品となっています(ねじ商工連盟調べ)。
このたびのJIS改正を機に、ねじ業界は今後、本体規格品の普及促進を目指し、商工一体となって、2020年までに本体規格品の供給体制を整えて参ります。
国際規格(ISO)に準拠して定められたJIS B 1180(六角ボルト)及びJIS B 1181(六角ナット)の規格に従い製造された六角ボルト・ナットのこと。これらの規格は、下記附属書に対して本体規格と呼び区別されている。
部品等級は製品の寸法、形状、仕上がり状態によって区分したものです。
幾何公差も規定され、より標準化と精度のレベルが上がっています。
附属書の強度区分は4T、5T、6T、8T、10T 数字にTが付きます。
本体規格の強度区分は5、6、8、9、10、12 数字だけになります。同じ数字の比較では本体規格の強度がアップしています。
「鋼4.8」の六角ボルトは、附属書では「仕上げ程度」上、中、並の3種類があります。一方、本体規格では「部品等級C」1種類のみになります。 同様に、「鋼10.9」の六角ボルトは、本体規格では「部品等級A」1種類のみとなります。
これは締結する際に、座面と締結物との間に均一な摩擦力を発生させ、適切な軸力を保持するためです。
流通している附属書品にはほとんどありません。
強度区分とともに製造者識別記号がボルト頭部上面外周部に刻印され、トレーサビリティが容易になります。附属書では要求されていません。
本体規格で規定されている六角ボルト又は六角ナットはボルト頭部上面外周部に製造、鋼種、強度区分が刻印されております。
鋼種区分ごとに規定された範囲内での化学成分の最終選択は、受渡当事者間の事前の協定がない場合、製造業者の任意とする。
例1 A2-70:冷間加工された引張強さの最小値が700MPaのオーステナイト系ステンレス鋼
例2 C4-70:焼入れ、焼戻しされた引張強さの最小値が700MPaのマルテンサイト系ステンレス鋼
呼び径・全ねじ・有効径六角ボルト名称になる。呼び径ボルトの等級A・Bは強度区分5.6,8.8,10.9であり5.6が最少値、ねじの公差域クラス6gです。部品等級Cは強度区分4.6,4.8 ねじ公差域8gがあります。
現状の附属書の通称「中ボルト」(六角ボルト・中仕上・6g)の代替えは?同様に強度区分の8.8の六角ボルトの代替えは?
本体規格にはステンレス鋼の座無し部品等級Cの規格がない対応は?課題点がのこります
六角ナットはスタイル1・2 ,六角ナットC ,六角低ナットの名称になる。
強度区分に注意が必要、スタイル1の強度区分はM39以下で5.6,8,10.12の5種類です。 スタイル2は8,9,10,12であり、最低強度区分が高い数値です。
附属書製品は、SS400相当で4T、S45CHで8T相当が一般的であり使用の際は注意が必要です。本体規格のナットの高さは、附属書より厚めになっていますので、保証荷重試験の数値は、附属書製品より高くなります。