本体規格(現JIS品)/附属書(旧JIS品)について

 現行JIS/ISO本体規格品の供給.販売を提供いたします

本体規格と附属書JAの切替の詳細

本体規格と附属書JAは、成り立ちが元々違っており1974年版の規格で製造された附属書製品が現在まで約40年間の長きにわたり、製品設計に採用・生産されて市場に供給され、大きな問題も無く使用され続けた実績から、現存する機械・製品・設備の補修まで考えると、規格仕様の切り替えは簡単とは思いません。規格相違点や市場動向を研鑽し、顧客の新しい設計や支障の無い部分からのスタートに十分な対応をしていく体制が重要です。

2014年4月21日付けで六角ボルト、六角ナットのJIS改正が行われました。附属書の技術的内容をそのまま存続することとしたものの、「新しい設計では使わないことが望ましい」旨、明記されました。

本体規格は確実な締結体設計にとって推奨すべきものです。しかし、現状は本体規格品の普及が進んでおらず、一般流通品はほぼ附属書品となっています(ねじ商工連盟調べ)。
このたびのJIS改正を機に、ねじ業界は今後、本体規格品の普及促進を目指し、商工一体となって、2020年までに本体規格品の供給体制を整えて参ります。

JIS本体規格品を推奨する理由

六角ボルト・ナットの組み合わせによる締結の信頼性が向上します

本来の六角ボルト・ナットによる締結の信頼性は、両者の適切な組み合わせにより高まります。本体規格では、ボルトの強度区分によって組み合わせるナットを定め、ねじ山のせん断破壊が起こらないように保証しています。JIS B 1052-2にはその組み合わせが明記されています。今後、本体規格品を使って行くことが、日本の締結に対する設計レベルを高めることになります。

世界調達、国際標準化への対応を加速させます

これまで我が国は、ものづくりの国際競争力向上のため、総力をあげて国際標準化に取り組んで参りました。国内市場が縮小し、ますます海外に活路を求める時代となりました。海外生産、世界調達に対応するためにも、国際標準化への対応を加速しなければなりません。本体規格は国際規格(ISO)に準拠したもので、本体規格品の普及促進は、ユーザの皆様、ねじ業界の双方にとって利益をもたらします。

本体規格品とは?

国際規格(ISO)に準拠して定められたJIS B 1180(六角ボルト)及びJIS B 1181(六角ナット)の規格に従い製造された六角ボルト・ナットのこと。これらの規格は、下記附属書に対して本体規格と呼び区別されている。

本格規格付属書

附属書品とは?

1985年のJIS改正で、それまで使用されていた六角ボルト・ナットの規格は「附属書」となった。
その附属書の規定に従って製造された六角ボルト・ナットのこと。

本格規格付属書

本体規格品と附属書品の違い

本体規格の六角ボルト・ナットには部品等級A、B、Cがある

部品等級は製品の寸法、形状、仕上がり状態によって区分したものです。
幾何公差も規定され、より標準化と精度のレベルが上がっています。

JISB1180六角ボルト

本格規格付属書

本体規格のナットには、スタイル1(並高さナット)、スタイル2(高ナット)がある

附属書ではナットの呼び高さを、0.8d(1種、2種)としていたが、ねじ山のせん断破壊に対する抵抗力を従来より高くする必要性から、本体規格ではナットの高さを大きくしました。高さの違いによってスタイル1(約0.9 D)、スタイル2(約1.0 D)となります。

JISB1181六角ナット

本格規格付属書

六角ナットの本体規格と附属書は強度が違う

六角ナットの本体規格と附属書は強度が違う
新規設計では、他との整合性と利便性を損なわない限り、本体規格を用いていただく様お願いいたします。
設計に於いては必要な六角ボルトの強度を決めると、JIS B 1052-2により組み合わせる六角ナットの強度が決まります。
また、六角ボルトに組み合わせる六角ナットは、組み合わせ表より高い強度区分の六角ナットに代替できます。

本体規格では六角ボルトの強度区分によって六角ナットとの組み合わせが決まる

本体規格では六角ボルトの強度区分によって六角ナットとの組み合わせが決まる

附属書の強度区分は4T、5T、6T、8T、10T 数字にTが付きます。
本体規格の強度区分は5、6、8、9、10、12 数字だけになります。同じ数字の比較では本体規格の強度がアップしています。    

本体規格品と附属書品の寸法の違い

六角ボルト・ナットには、二面幅が異なる4サイズ、高さの異なるサイズがあります。

本体規格と附属書規定との主な相異点

  1. ボルト、ナット共に、M10、M12、M14の二面幅は、本体規格品が附属書より、1ミリ小さく、M22では2ミリ大きい。ナットは高さが厚くなる方向にある。(M10が17→16、M12が19→18、M14が22→21、M22が32→34)
  2. ボルトは、附属書規定品は標準の場合、頭部座付きでない本体規格の部品等級A・Bは座付きであり、等級Cは座付きでない。
  3. ナットは、市販品の多くは附属書規定品で、1種の片面取りであるのに対し、本体規格品では「六角低ナット(面取りなし)」を除き、すべて両面取りである。(注文者の指定がない限り座付きとしない)
寸法違い早わかり表

本体規格の六角ボルトは「強度区分」によって「部品等級」が決まる

「鋼4.8」の六角ボルトは、附属書では「仕上げ程度」上、中、並の3種類があります。一方、本体規格では「部品等級C」1種類のみになります。 同様に、「鋼10.9」の六角ボルトは、本体規格では「部品等級A」1種類のみとなります。


本体規格の六角ボルト部品等級A、Bには座面にワッシャーフェイス(座)が付く

本体規格の六角ボルト部品等級A、Bには座面にワッシャーフェイス(座)が付く

これは締結する際に、座面と締結物との間に均一な摩擦力を発生させ、適切な軸力を保持するためです。
流通している附属書品にはほとんどありません。    

本体規格では、ステンレス鋼六角ボルトにも強度区分が規定されている

本体規格では、ステンレス鋼六角ボルトにも強度区分が規定されている

強度区分とともに製造者識別記号がボルト頭部上面外周部に刻印され、トレーサビリティが容易になります。附属書では要求されていません。

本体規格で規定されている六角ボルト又は六角ナットはボルト頭部上面外周部に製造、鋼種、強度区分が刻印されております。

A2-70 六角ナットについての詳細はこちら


鋼種区分ごとに規定された範囲内での化学成分の最終選択は、受渡当事者間の事前の協定がない場合、製造業者の任意とする。

本体規格では、ステンレス鋼六角ボルトにも強度区分が規定されている

例1 A2-70:冷間加工された引張強さの最小値が700MPaのオーステナイト系ステンレス鋼

例2 C4-70:焼入れ、焼戻しされた引張強さの最小値が700MPaのマルテンサイト系ステンレス鋼

本体規格の種類

JISB1180六角ボルト

JISB1180六角ボルト

JISB1181六角ナット

JISB1181六角ナット

本体規格と附属書JAの主な注意点

六角ボルト ―― 種類と強度区分とねじの等級

呼び径・全ねじ・有効径六角ボルト名称になる。呼び径ボルトの等級A・Bは強度区分5.6,8.8,10.9であり5.6が最少値、ねじの公差域クラス6gです。部品等級Cは強度区分4.6,4.8 ねじ公差域8gがあります。
現状の附属書の通称「中ボルト」(六角ボルト・中仕上・6g)の代替えは?同様に強度区分の8.8の六角ボルトの代替えは?
本体規格にはステンレス鋼の座無し部品等級Cの規格がない対応は?課題点がのこります     

六角ナット ―― スタイルと強度区分

六角ナットはスタイル1・2 ,六角ナットC ,六角低ナットの名称になる。
強度区分に注意が必要、スタイル1の強度区分はM39以下で5.6,8,10.12の5種類です。         スタイル2は8,9,10,12であり、最低強度区分が高い数値です。
附属書製品は、SS400相当で4T、S45CHで8T相当が一般的であり使用の際は注意が必要です。本体規格のナットの高さは、附属書より厚めになっていますので、保証荷重試験の数値は、附属書製品より高くなります。